道中記〈余市 / 積丹 / 小樽〉
今回は積丹半島方面にくり出しました。
当記事は自分用のまとめであり、備忘録です。全ては私の個人的な感想です。
しかしながら、この記事を公開することによって、どなたかの興味のきっかけや参考になれば幸いです。
【余市 イオチ】
ニッカウヰスキー余市工場の見学で一度赴いたことのある余市ですが、今回はこちらの本を傍らに巡ります。
違星北斗歌集 アイヌと云ふ新しくよい概念を (角川ソフィア文庫) | 違星 北斗 |本 | 通販 | Amazon
短歌や随筆とともに、かつて暮らした余市の風景も描かれています。
しかしながら、住宅整地によって失われているものが多く、かつて余市に存在した天内山チャシは「おそらくこの辺りだろう」というものでした。川もずいぶんと埋め立てられたようです。
モエレ山の中腹にも砦?石垣?があるようなので、次回伺う際には水産博物館と共に探してみたいところ。モエレ山の麓には運上家屋敷が残されているのでそちらも。モエレ浜をぐるっと回ると海の先にシリパ岬が見えます。立派な岬です。
シリパ岬の下には洞窟があり、そこを抜けると死んだ人々の住む国「オマンルパロ」(あの世への入り口)があるという言い伝えが残っています。
余談。
余市は旧会津藩士の方々が移住された土地でもありました。アメリカ人技士の教えでリンゴ栽培を道内初成功させた実績もあります。お隣の仁木町もりんごとさくらんぼが有名ですね。
ニッカウヰスキーを創業したマッサンやエリーも眠る美園の丘の墓地には、会津藩士慰霊碑もあります。街を一望できるとても良い場所でした。
【奮部(フゴッペ) フム コイ ベ】
・国指定史跡フゴッペ洞窟
羽根を持つ人間の壁画が資料館として残されている場所です。小樽は手宮にも近しい壁画の資料館があるのですが、そちらは情勢により閉館中でした。残念。
違星北斗さんの本に、こちらのフゴッペ遺跡に関する論文が収録されています。アイヌとはまた異なる民族であったのではないか、との指摘で大変興味深いのでおすすめです。
ただ!行って資料を見て知ったのですが、現在資料館として残されている洞窟壁画(昭和25年に中学生が発見)と、違星さんが当時論を残したものは(昭和2年に鉄道工事の際発見)別物なんですね。昭和2年に発見されたものは保存されることなく、そのままにされている……?のかな?そのあたりの資料・記述がなかったのでこの点においては要調査案件。実際、フゴッペ資料館の裏手にはすぐ線路が引かれており、洞窟のある小高い山は二つに分断されています。山は草木に覆われていて鬱蒼としていました。
(余談。小樽の手宮洞窟にはいたずら書きではないかという偽刻騒動もあったとのこと。その後、その説は一掃されています)
【小樽 オタ・オㇽ・ナイ】
・桜チャシ跡
小樽の現望洋東公園に位置します。公園の中央には小高い山があり、おそらくそちらかがチャシ跡。木々が茂っていますが、そこに立つと海も山も望めるので、大変見晴らしの良い場所であることがわかります。
こちらの桜チャシは鮭漁などに関係した見張りの場だという説があるとのこと。
(チャシは日本語訳の際に「砦」とされますが、実際は防衛線としての砦のほかに、祭祀を行ったり、前述のように見張り場所であったりと様々だそうです。余市の天内山チャシ跡からは土器や矢尻などが発掘され、貝塚・祭場・墳墓であったと推測されます)
こんな山の中をアシㇼパさんは駆け回っていたのかな……!
・ほか
今回の旅程は夜に着くスケジュールだったので、ライトアップされた運河を見ることができました。しっとりとして良い雰囲気ですね。
小樽はフェリー港もある関係で24時間営業の(すごい)日帰り温泉もあります。ぬるぬるした塩泉で芯までぽかぽかになるのでおすすめ。
田中酒造さんにもうかがいました。建物は昭和2年に建てられた木造2階建ての建物で、小樽市の「歴史的建造物」に指定されています。立派な門構えと店内で垂涎です!
こちらでは、ひえのお酒「カムイトノト」を販売されています。
旧アイヌ民族博物館提供の「アイヌ生活文化再現マニュアル」をもとに製造されているとのこと。とても素朴な味わいでした。アルコールフリーの甘酒タイプもありましたので、ぜひご一飲をおすすめします。
カムイトノト/300ml – 田中酒造株式会社 オンラインショップ
【エトセトラ etc. その他】
・神威岬
積丹ブルー!
朝一で入った時には曇っていて(というか霧がすごくて異界でしかなかった)青さもそこそこでしたが、粘ってぼーっとし続けていたら晴れてくれたのでよかったです。美しい色だった。
海の青さもさることながら、地形や地層大変面白い。ブラタ●リごっこが捗ります。
・島武意海岸
積丹岬の灯台を目指していましたが、羆出没のため閉鎖されており、海岸の方に下りました。こちらもとても綺麗な海!岩の転がる海岸端には、かつてニシン番屋が立っていた土台である石垣が残されていました。立派な石垣でした。こうして海辺にいくつも番屋があったのだなあ。
今回は博物館めぐりというよりも、土地そのものや跡地めぐりだったので、文字にするのが難でした。しかしながら、チャシ跡という新たなページを捲れたので大変有意義な旅となりましたね。とてもよかったです。
いつか小樽のニシン御殿や博物館も行きたい。私はいつになったら札幌に行けるんだ。
最後に、今回も旅ゆく私の命を支えてくれたセイコーマートに感謝して。
ホットシェフ万歳。セコマブランド万歳。北海道万歳。
※記載に誤り等ある場合は随時修正・更新されます。
※個人による個人のための備忘録です。